卒業式が終わりました。

卒業式までは卒業式の準備はもちろん、
成績付けやら、学生対応やらで、
教務部は怒涛の日々をすごすわけですが、
何とかクリア。


卒業式当日はアドレナリンがマックスですから体が勝手に動きます。 
それも何とかクリア。 

1日経ってようやく思考回路がふつうに戻ってきましたので、 
卒業式をふりかえってみたいと思います。

今日は、留学生のみなさんから教えてもらったことについてのお話です。

 

代表者の送辞と答辞を聞くと、毎年、胸がいっぱいになります。

美しい季節の挨拶からはじまって、
それぞれの思い出に続き、感じたことやメッセージを自由に話したあとは、
周囲の方への
感謝の言葉。 
けっして奇をてらったものではありませんが、
その定型の中に深い思いが込められていました。

何より聴衆の前で立派に話せるほどの
日本語力を身に付けたことがすばらしいと思うのです。 
選ばれたふたりの努力はいつも見ていました。  
そんなすてきなメッセージをありがとう。

 

「青山での留学生活はどうでしたか」とステージから尋ねたら、 
「楽しかった~」とこたえてくれましたね。

もうそれでわたしはスピーチを終わろうと思ったほどでした。 
ほんとうはいろいろあったはずなんです。 
新しい語彙や漢字が覚えられない、希望の学校に合格できなかった、 
アルバイト先で理不尽に怒られた、進路を考えたら眠れなかった・・・
など苦しいときがたくさんあったはずなんです。 
それでも最後は「楽しかった」と言えた生徒さん、 あなたのその感性がすてきです。  
そんな前向きな考え方をありがとう。

 

卒業式の会場では、先生や友だちとたくさん写真を撮っていました。 
今の担任だけでなくて、入学してからお世話になった先生方を見つけては
「先生~、写真とってくださーい」
「ここにサインをおねがいしま~す」と大騒ぎ。 
引退される先生を囲んでプレゼントを渡したりお礼を述べている生徒さんもいました。 
校長先生も大人気でツーショットを撮りたい学生が次々と並んでいました。 
日本語学校での日々をそんなふうに名残惜しく思えるのは、 
それだけいっしょうけんめい過ごしたからだと思うんです。 
掃除やキッチン、ホールなどのアルバイトで生活費を
自分で賄ってきたアオザイ姿の彼女たちの
明るさとたくましさが、今のわたしにあるでしょうか…・。     
そんな強さを教えてくれてありがとう。

 

    

毎年、皆勤賞の生徒さんがいます。 
最低でも1年間。 長い人で2年間、無遅刻、無欠席。 
なかなかできることでは
ありません。 
日頃の心身の管理が万全だということですね。 
(私は全力で走りすぎて、終わったとたんにバタンキューと倒れてしまう傾向があるので
本当に反省しました。) 
東京は電車遅延が多いのですが、それすらも影響がなかったということです。 
当然なのだと思いますが、皆勤賞の生徒さんは成績もいいんです。 
やはり語学は継続と日々の鍛錬なのでしょうね。  
「おめでとうございます。 よくがんばりましたね」と話しかけると、
「ありがとうございます。 先生方のおかげです」と、応対はどこまでもスマートで謙虚。   
勤勉さと謙虚さを教えてくれてありがとう。

 


今年もたくさんの生徒さんが民族衣装やスーツで卒業式に参加してくれました。 
私たちの学校では卒業式は絶対にスーツを着なさいと強制はしていません。 
もちろん式典に参加するマナーとしては
スーツなど正装が望ましいという概念は伝えますが、
日本語学校にはいろいろな経済状況の生徒さんがいますから敢えての考え方なんです。

然して、それぞれが思い思いの装いで卒業セレモニーを楽しんでくれました。

さまざまな民族衣装を目にするたびに、 異文化共生の原点を思い出させられます。 
ルーツは違うけれども日本語で日本のしきたりを尊重してその方式どおりに粛々と式を行う。 
みんながどれほど自分の文化を誇りに思っているのか、
それと同じくらい日本の文化が大好きなのかが伝わってきます。 
異文化共生を再認識させてくれてありがとう。

 

 

「卒業したくないです」「あしたからも青山に通いたい」 と涙ぐむTさん。 

「またS先生の授業をうけたいです」と話してくれたRさん。

ほとんどの生徒さんは次のステップに行くことがうれしくて、
めったにこんなこと言われることないのですが…。

きっとみんな、あこがれの大学生活が始まったら、
日本語学校のことを思い出すひまはないでしょうね。

でも、それがわたしたちの願いなんです。 
若い人は、昔のことを思い懐かしむのではなくて、未来を見てほしい。

今をいっしょうけんめいすごしてほしい。 


それでも、それほどこの学校で過ごした日々を大切に思ってくれてありがとう。 

いつでも遊びにきてくださいね。 

 

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