紅葉から梅の季節は、日本語学校は受験色に染まります。
これまで何回も受験について書いてきましたが、留学生にとって、
それほど日本語学校を卒業したあとの進路は大切なものなんです。
日本語学校はあくまでも通過点。
2月の梅を見上げながら、大学へ進学した留学生たちを思い出してみました。
今日はそんな受験についてのお話です。
(注:登場人物はずいぶん昔の卒業生で、名前は仮名です。 )
入学当初から宣言していたヤヌットさん。
そうは言っても入学したときの日本語レベルは初級。
2年で大学進学は厳しいだろうなとほとんどの教師が思っていました。
1年目。
まじめに授業に参加して順調にレベルを上げていきました。
けれどもテストの点数はそんなによくありまません。
漢字もなかなか覚えられなくて、追試をたびたび受けていました。
そんな彼女でしたが、
どんな時も笑顔を絶やさず、腐らず、あきらめずという態度は
見事に一貫しています。
「はあい、がんばりまあす」というノリでニコニコ。
「漢字、ムズカシイです」と言いながらせっせと追試を受ける日々。
2年目。
ふつうの成績でしたが大学進学の意思は変わりません。
当時、2年目からは大学進学希望者だけを集めた特別クラスがあったので、
彼女はそのクラスに入って受験勉強を始めることにしました。
そのクラスはイベントも何もなくてひたすらお勉強。
毎日漢字。小学生レベルの漢字からやり直しました。
日本語だけでなく時事問題や小論文、長文読解なども勉強します。
わかっているかわかっていないのか、理解できているのかいないのか、
おそらくヤヌットさん自身も半信半疑だったのかもしれません。
それでも彼女はひたすら教師が差し出す教材に取り組み続けました。
担任がここなら彼女にピッタリだと思った大学を探したところ、
彼女はすぐに説明会に参加して自分の目で大学を確かめ
「はい、〇〇大学を受験します!」とあいかわらずニコニコしながら即決。
彼女の努力する力、継続する力、コミュニケーション力、人間力などの総合力を
大学側が判断してくださったからだと、わたしは信じています。
先生たちからの賞賛の言葉に、ヤヌットさんはいつも笑顔で答えていました。
「センセイノ オカゲデス」
ありがとう。
でもね、 いいえ、それは あなたの力ですよ。
がんばれたあなたの力。
辛いときでも笑顔で努力を続けたあなたの力。
わたしたちは みんな そう思っています。
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