「すごいね」
「じょうず」
「いいです」
「すばらしい」
「がんばってるね」

  
わたしたち日本語教師は授業中、
いろいろなことばで学習者を褒めて励ましています。 
先生方、そうですよね?

先生のひとことで学習者の顔がぱあっと輝くのを
わたしは何度も見てきました。

今日はそんな「褒める」ことについてのお話です。

  

初級クラスのチェンさんは、
もともと恥ずかしがり屋で声も小さく、
なかなか上手に発話ができませんでした。
ペアワークでも隣の人が教えてあげなければ自分のパーツが言えません。 

さてペアワークの発表です。 
クラスの全員がペアで会話を発表することになっています。 
チェンさんの順番は一番最後。 
結果は・・・?  
チェンさんは見事、最後まで会話を言うことができました。 
なぜならクラスメイトが小さい声で
チェンさんの言うべきパーツを一緒に言ってあげたからなんです。
チェンさんの声の向こうに仲間の声。 
終わったらクラス全員で拍手喝采。

  
「チェンさん、すごい。 よくがんばりました。
とてもよかったです。 みんなもありがとう。 
とてもいいクラスですね。」

 

中級クラスのリンさんはイラストが大好きで
将来は美術系の大学進学を目指しています。 
彼もとにかくおとなしくて発表なんてもってのほか。 
指名されてようやく小さい声でボソボソと答えるのが精いっぱいといったところです。 
そのクラスは毎日ミニスピーチをしていました。 
順番がきたら2分程度のスピーチをみんなの前でしなければなりません。 
さて、リンさんの番です。 
緊張するのはわかっていたせいでしょうか、
彼はしっかり準備をして、メモを見ながらでしたが最後まで話しきり
ました。 
テーマは大好きなイラストについて。 

「リンさん、すばらしいスピーチでしたよ。 
日本語の文章もとてもきれいで、発音もとてもきれいです。」

 

遅刻が続いた生徒が、3日連続して時間どおりに来たら、
Aさん、時間を守れてりっぱですよ。」 

漢字のノートがきれいな生徒には
Bさんの字はほんとうにいつもきれいですね。」 

あいさつがさわやかな生徒には、
「Cさんのあいさつは最高です。みんなもまねしましょう。」 

提出物を必ず期限どおりに出す生徒には
「Dさんはいつも締め切りを守ります。とてもすばらしいですね。 
これが信頼なんですよ。」 

 

褒めることが見つからない?  
いえいえ、そんなことは絶対にありません。 
褒めることは気に掛けること。

「今日のシャツ、すてきですね。」
「いつも元気ですね。」
「毎日がんばっているね。」 

 

生徒さんのほうこそ、実は教師をよく褒めてくれます。 
アンケートで自分の名前を見たとき、
カードをもらったとき。

そのときの気持ちを思い出しましょう。

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「〇〇せんせい、さいこうデス」