「あれ? ジョさんって初級クラスじゃなかったっけ?」
「はい、そうですが…」
「N1申し込んでるよ、いいの?」
「あ、オウさんもN2申し込んでるよ。」
「オウさんもA1の初級クラスですが…」
わたしたちの学校では日本語能力試験(JLPT)を学校単位で申し込みますから、
学習者の受験級がすべてわかるようになっています。
そして、毎回初級の学生が自分のレベルとは
まったく合っていない級を申し込むという事態が起きるのです。
今日はそんなJLPTの受験レベルについてのお話です。
「N2はいりません、N1がほしいです」ときっぱり。
「N1しか受けません。他はいりません。」
はい、確かに、大学院の募集要項にN1取得者とありますからね。
Sさんの必要なJLPTの級はN1だということはわかります。
けれども今のSさんのレベルはA2。いわゆる初級です。
日本語としては入口に入ったばかり。
N1レベルの語彙や聴解などが解けるわけがありません。
これはあくまでも日本語のレベルであって、
決してSさんの人間性やアカデミックな分野での専門性のレベルにはまったく関係ありません。
それなのに最初から到達レベルを受けることにそこまでこだわるのはなぜなのか。
語学は順を追って上達していくのだから、せめてまずN2を受けよう。
N2に合格すれば、少なくともSさんの日本語能力はN2ということが証明できる。
N2もなくN1も不合格ならば、Sさんの日本語能力を第三者に示す方法がない。
受験する際にN2もN1もなければ、日本語力をどうやって証明するのか。
などなどわたしたちは説得にかかるのですが、Sさんは持論を曲げません。
いやはや。 これはSさんの個人的な意見というよりは、
これまで受けてきた教育や、外国語学習や進学への考え方など、
いろいろな要素が関係していると思います。
JLPTがレベル別ではなくて、全員が同じ試験を受けるならば
こんな問題は起きないのになあ・・・と思わず夢見てしまいます。
「ワタシハ N1ヲウケマス」
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