「せんせい、おねえさんの結婚式があります。 休んでもいいですか。」 
留学生からそう言われたら、わたしたちは必ず確かめることがあります。 

「本当のおねえさんですか。」 

つまり、血がつながっている同じ家族内のお姉さんかどうかという意味です。 
「いいえ、お母さんの妹のこどもです。」 となると従妹ですね。 
確かに広い意味でおねえさんではあるのですが、
慶弔関係の休みとなると関係性をはっきりしなければなりません。 
今日は、そんな留学生の家族についてのお話です。

 

日本語教師になりたてのころ、 韓国の学生がよく
「おにいさん、おねえさん」と言っていたのを、
「え、あなたたち兄弟だったの?」とやたら驚いていました。 
はい、すみません。勉強不足でしたね。  

韓国では血縁関係がなくても、親愛の意味を込めて
「おにいさん、おねえさん、妹、弟」と呼ぶのはよく知られていると思います。 
韓国ドラマでもみなさん耳にしたことがあるのではないでしょうか。
この文化は韓国だけでなく、ベトナムやミャンマー、フィリピンなどでも健在のようです。 

 
「どうして日本に留学しましたか。」
「お兄さんが留学しているからです。」
このお兄さんは何者なのか。 
よくよく聞いてみなければ関係性はわかりません。 
血縁関係のあるお兄さんなのか、
親戚のお兄さんなのか、
または近所に住んでいるお兄さんなのか。 
あるいは友だちのお兄さんで実は会ったことがないとか。 

どのケースもあり得るのです。


異国での生活を始めるときはだれでも不安になります。 
そんなとき最初に乗り込んでいったお兄さんやお姉さんがいてくれたら
どれほど心強いでしょう。 

携帯電話の買い方、
電車の乗り方、
スーパーの買い物の仕方、

そんなことを、まるで本当の親戚や家族のように助けてくれる存在は大きいですね。 
さらに母語で話せることは何よりも安心材料だと思います。
留学先で頼れるお兄さん、お姉さんの存在は大きく、
心のよりどころになっているようです。

限定的で独断的な私の観測によると、
これはアジア圏独特の慣習なのかなあと思います。 
欧米圏ではおねえさんもおじさんもファーストネームで呼び合うせいか、
敢えてお姉さんとかお兄さんなどと呼び合いませんからね。

 

日本も昔は兄弟が多く、
留学生と同じように親戚のおにいさん、おねえさんはたくさんいました。 
実際、私の母は5人兄弟、父は4人兄弟ですから、
それぞれの従妹も相当の数に上りました。 
みんな〇〇にいちゃん、 △△ねえちゃん、と呼んでいた記憶があります。 
今は核家族化が進み、一人暮らし率も上り、 
血縁関係でもおにいさん、おねえさんは少なくなってしまいました。 
ましてや親戚関係では。 

  
先輩や友人との間でも、なかなかおにいさん、おねえさんと呼べる関係にはなりません。 

その意味では大きな家族に包まれている留学生をうらやましく思います。 


日本語では「おねえちゃん」「ねえちゃん」は独特の意味を持っていますから、
みなさま、使い方には十分注意してくださいね。  
私は、八百屋さんからの
「おねえさん、今日はいちごが安いよ。」と言われるのは大歓迎ですが。
kyoudai
                                                                         

「ほんとうのお兄さんですか 」