わたしたちの学校には小テストがたくさんあります。 
正直、多すぎるほどです。 
その回数の問題はさておき、なぜ小テストがあるのか考えたことがありますか。 
教師にはそれぞれ考えがありますし、教育にどれが正解かなんてありませんから
様々な意見があるのは当然です。 
テストなんてないほうがいいに決まってる! 
確かに。 
でも、それはなぜでしょうか? 
テストはストレスになるから?  
点数で評価するのは厳しすぎるから?

 今日は、そんな小テストについての話です。

 

 留学生が日本語学校で日本語を学べるのは最長2年間までと決められています。 
日本語をもっと勉強したいと思っても同じ日本語学校で学び続けることはできません。
卒業後は専門学校や大学へ進学して、専門分野と同時に
日本語を学び続けるという形になります。

 最初は2年間なんて短すぎると思っていましたが、
今は集中して学ぶにはちょうどよい期間だと考えています。

 

 どんなに語学が得意な人でも
3か月で初級から上級レベルにまで到達することは不可能です。
文法は集中して学べば何とかなるかもしれませんが、
語彙を記憶することや運用力をつけるにはどんな人にも「時間」が必要だからです。

語学の習得はピアノやバイオリンなどの楽器の習得と似ているかもしれません。
3か月でいきなりショパンのポロネーズが弾けないのと同じです。
最初は基礎の反復。
練習に練習を重ねて、無意識に指が動くようになり
自然に譜面を暗譜した後でようやくその人らしさの探求へと繋がります…

 どちらも基礎がいちばん大切で、何度も繰り返して覚えなければなりません。 
みなさんは、ひとりで反復練習ができますか。
毎日毎日、単純な練習ができますか。 
思わず苦笑いですよね。ほとんどの人にとって難しいと思うんです。

それは当然で、一人でやるとそもそも到達点がどこかもわからないし、
到達したかどうかもわからないからなんです。

そこで学校のカリキュラムがペースメーカーとして登場します。 
学習したらやりっぱなしではなく、身についたかな、覚えたかなと確認することが必要です。
そのためのテストなのです。 

  テストがなかったら漢字や語彙を必死で覚えることは、かえって難しいのではないでしょうか。

 

  覚えたのにすぐに忘れてしまいます。どうしたら覚えられますか?
と生徒さんからよく質問されますが、秘訣があったら私も知りたいくらい。
新しい語彙は何度も何度も「出会う」ことが必要だと言われていますから、
ひたすら五感を使って覚えましょう。
書いたり、話したり、聞いたり、時には体を動かしながら、歌いながら。 

  新しい言葉はぜひ学校で話してみてください。
作文で書いてみてください。 
ネイティブ教師にその使い方を確認してください。
そうしたらその言葉はもうあなた自身の言葉になっているはず。
クラスでのミニスピーチ、発表など、試す機会はいくらでもありますよ。 
教室で使った言葉は不思議と印象に残って自然に覚えてしまいます。

 

  テストはぜひ以前の自分と比べてくださいね。 
クラスメイトと比べるのではなく、
先週の私や1か月前の私と比べてその成長度を確認しましょう。
そして、テストが返却されたら間違えたところをできるようになるまで何度も繰り返すこと。 

 

  最後にどうか忘れないで。 
覚えるリズムも時間も人それぞれ。 
Aさんは1回で覚えられるかもしれませんが、Bさんは1週間かかるかもしれません。 
だから自分に優しく。 とにかく学習はコツコツと。  

コツコツ、こつこつ。 


  コツコツ学習は絶対に裏切りません。


mini-test
 「忘れても大丈夫。 また、覚えよう。」