外国人の日本語力って、どうやって証明するの?  
この人は日本語が「できる」とか「上手」とかってどうやって判断するの?  
みなさんは疑問に思ったことはありませんか。

日本語を母語としない人たちの日本語能力を測定し認定する試験の一つに
JLPT(日本語能力試験)があります。
1984年に国際交流基金と日本国際教育支援協会の2団体が共催で開始し、
2011年には世界62か国・地域の約61万人が受験する
世界最大規模の日本語試験です。 (日本語能力試験HPより抜粋)
今日は、そんな試験のお話です。

 

  もちろん日本語能力を測定する試験は他も数多くありますが、
多くの留学生はまずJLPTを受けるケースが多いと思います。
なぜなら、知名度の高さではJLPTがおそらく一番でしょうし、
日本の大学や専門学校へ進学するときや日本の企業で働くときに有利になるからです。

 たとえば、ほとんどの専門学校の出願条件は、JLPTN2合格またはN2相当となっています。
大学や大学院によってはN1合格を条件にしているところもあります。
また高度人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度では、
N1合格者は15ポイント、N2合格者は10ポイントがつきますので、
ポイント加算に有利になります。
就職ではN1が条件になることも多々あります。などなど、
日本の社会に「私の日本語力は〇〇です」と宣言するのに有利であることは間違いありません。 
20238月現在の情報)

 ただ、試験も万能ではありませんから、
JLPTでその人の日本語力がすべて証明できるわけではありません。 
現在のJLPTは漢字や語彙を理解する「言語能力」と、
文章を読む「読解力」、そして「聴解力」を測ることはできますが、
話す能力と書く能力は、試験にないので証明することができません。

 ですからN1に合格した人でも、会話がたどたどしい場合や、
書いた文章がまったく支離滅裂という場合もあります。  

 受験英語の難しい文章は読める(問題が解ける)けれども、
コミュニケーションとしての会話が全くできないという日本人あるある、の状態と
まったく同じケースが存在する、というわけです。

 

 そこで外国人に慣れている学校や企業さんは、
JLPTN2,N1合格は、あくまでも募集条件の一つとして取り扱い、
基礎力を問うために必ず面接を行ってその人の日本語でのコミュニケーション力を測ります。 
作文や小論文を書かせるのもその人の「書く」力を総合的に判断するためなんです。
JLPTはマークシート方式ですから、漢字が書けなくても
判別し読めれば答えを出すことはできますからね。 

そうはいっても現代はPC時代。
手書きで書く必要なんてないのでは、という意見もあるでしょう。

  

 されど試験は試験。
合格した人は一定の日本語力があることを
きちんと評価してもらえるというメリットは確かにあります。

 

日本語を学び始めて数年で、日本人が10年かけて学ぶ漢字をマスターして、
N2N1に合格する留学生はすごいなあと心からそう思います。
N2では高校卒業程度の語彙力がなければ太刀打ちできませんし、
抽象的なテーマの文章を読み解く論理性も求められます。
N1ともなると、日本人でも真剣に読み込まなければならない程の難易度です。 
もちろん漢字圏の学生には有利であることは否めません。 
本当に読み込めてなくても漢字力である程度理解できるというのは事実だと思います。 

 留学したからには、何かその成果を形に残してほしいと私たち教師は思っています。 

やっぱり合格しようよJLPT。 
まずはとっちゃえ。 
試験の批判はその後かも。 
私はそう思います。

pass_the_JLPT
「JLPT,合格しました!」